選び方のポイント5:相場と見積

ホームページ制作会社選定にあたって、見積金額はもっとも分かりやすい選択基準です。いくつかの候補に絞った後に、いわゆる「合い見積り」をとる企業が多いかと思います。
しかし、この「合い見積り」、依頼するのは結構ですが、1つ、非常に大切なことがあります。それは、「同じ条件で見積依頼をすること」です。当たり前ですが、実はこれが結構難しいのです。
ホームページの見積り金額は、次のような前提条件によって金額がだいぶ変わってきます。
- どのくらいの訪問者を見込んでいるのか(つまりどの程度のサーバ設備が必要なのか)
- 文章や画像を自社が渡すのか、それとも原稿も写真撮影も制作会社に任せるのか
- 企画段階から制作会社の知恵を借りるのか、それともやりたいことは全て指示するのか
- どのようなコンテンツや機能が必要か
例えば、
「起業家を対象にしたコミュニティサイトを立ち上げたいのですが、御社に依頼するといくらぐらいかかるのでしょうか?」
いきなりこのようなお問い合わせをいただいても、答えようがありません。
出来合いのプログラムを使って、サーバのスペックを最小限に抑えてデザインにもこだわらなかれば、数十万程度でもできるし、本当に必要な機能をカスタマイズしてこだわるのであれば1000万かけることもできます。
このような依頼の仕方で見積りを依頼されたA社とB社があったとします。
A社は「コミュニティサイトなら、通常このぐらいのカスタマイズや手間はかけるであろう」という標準的な金額で見積を出して来ました。
B社は「とりあえず最初なので」と最低限の金額で見積を出して来ました。
ここでB社を選んでしまう人が実に多いのです。
もしかしたら、同じ条件で再度見積をとったら、A社の方がリーズナブルな仕事をしてくれるかもしれません。また、B社は本当にただ作るだけだけれども、A社は社内を丁寧にヒヤリングした上で、原稿等も全て代筆してくれ、最終的に社内の人件費を抑えられるかもしれません。B社の作ったものは1年しかもたなかったけれども、A社の作ったものは5年もつかもしれません。
ですから「合い見積り」をとるのであれば、自社が何をどこまで望んでいるのかを明確にしておいた上で、それを制作会社に伝え、理解してもらうことが重要になってきます。そうでなければ、何社ものホームページ制作会社から見積りを取ったところで比較する基準となりません。
しかし、誰がやっても同じ結果になるような決まった作業を依頼するならまだしも、見積の前提条件を自社で予め明確にしておくのは、簡単な作業ではありません。
技術的な知識もそれ相応に必要になりますし、条件を決めすぎてしまって、「経験ある制作会社からの提案」という外注する際の最大のメリットを享受できなくなってしまうかもしれないからです。
1つの上手な方法としては、いくつか良いと思った制作会社にやりたいことを伝え、相談します。良心的な制作会社であれば、どういう方法が良いのかなど、アドバイスをくれるでしょう。それをいくつかの制作会社へヒヤリングすれば、だいたい何が必要かが見えてくるはずです。その際にだいたいの値ごろ感も聞いておきます。
その上で、感触の良かったいくつかのホームページ制作会社に、具体的にホームページでやりたいことを伝え、「このぐらいの予算に収めたい」という希望を提示してみる方法もあります。
本業のかたわら面倒な作業かもしれませんが、発注側にとってはプロジェクトの成否を決める大事なステップですから頑張ってください。