起業家が人を雇うタイミングと雇い方
2016.02.22
社員を雇うべきか悩んでいます。
山浦さんは起業してどんなタイミングで社員を採用したのですか?
社員を採用しようと思ったきっかけは何ですか?
最初の社員はどんな人を雇いましたか?
私の場合、最初の1年半は1人でビジネスを行っていました。
ただし、全ての業務を1人でやるのは難しいので、外注を使っていました。
私はディレクターなので、デザイナーやプログラマーの仕事仲間もいたし、電話応対などは電話秘書を使ったりもしていました。
起業したときから、早く20~30人ぐらいの規模にしたいと思っていたので、早く従業員を雇いたかったのですが、月々の売り上げが安定しなかったので、1年半の間、雇えませんでした。
■雇うきっかけになったのは、いくつかの企業から、毎月コンスタントに更新のお仕事をもらえるようになったことです。
更新の作業は、似たような作業を毎月行わなければなりません。
起業家の多くがそうであるように私も飽きっぽい性格なので、私よりも従業員の方が定期更新の作業は上手にできるのではないかと考えました。
また、従業員を雇うまでは、大きな制作は外注を使っていましたが、こまごまとした作業は、連絡などで外注を使う方がむしろ面倒になので、自分でやっていましたが、その頃には、早くその作業から開放されたいという思いが強くなっていました。
もちろん毎月お金が入ってくる見込みが立ったというのもあります。
■今回読者の方からいただいた採用のタイミングに関する質問はいろいろなところで受けます。
そんな時、私はこのように答えています。
1)毎月従業員への給与を払える売り上げの見込みが立っていること
2)いくつかの業務に対して自分のモチベーションが下がってきたこと
たぶん1)と2)は同時に起こります。
2)が起こる大きな要因が、売り上げの増加だからです。
こんな思い↓が強くなります。
「この作業を社長である自分がやっている場合じゃない」
■その後、私は従業員を毎年2名ぐらいずつ増やしてきましたが、正直、何度か胃が痛くなる思いもしました。
しかし、「やっぱり1人でやってれば良かった」と思ったことは一度もありません。
1人でビジネスを行うよりもメリットの方が多いと思うからです。
- 自分が休んでも会社がまわる
- 自分が知らないことを社員からサポートされることもある
- 1人よりも楽しい
- 事業スピードが速くなる
- きちんとした企業として社会や取引先からの評価される
■最初の従業員にどういう人を雇えば良いのかについては、業種によって異なると思います。
私の場合は制作スタッフを雇いましたが、コンサルタントなどの人は、秘書などの方が良いのかもしれません。
また、今は人の働き方もいろいろなので、雇い方も一律に正社員でなければいけないということは無いと思います。
例えば、子育てがひと段落した昔バリバリのキャリアウーマンだった主婦の方をパートで雇うなどです。
私の知り合いのコンサルタントは在宅秘書を上手く使っています。
1つだけ、慎重になるべきだと思うのが即戦力の採用です。
小さな規模で即戦力を求めようとすると恐らく採用が上手く行きません。もし採用できても、採用後に気を使うので、私はあまりお勧めしません。
それであれば、経験は無いけどモチベーションの高い若者や子育てが終わり社会復帰したい主婦の人に、業務マニュアルを作りながら教えていくという方が良いと思います。
一旦、作った業務マニュアルは、社員と一緒に少しずつバージョンアップしていくのです。
■私はかなり心配性です。
だから、人を雇うかどうか、最初の1歩がなかなか踏み出せませんでした。
そんな慎重すぎる私に、起業当時入居していたインキュベーション(起業家向けのオフィス施設で、私は杉並区が運営する施設にいました)のインキュベーションマネジャーがこんな言葉をくれました。
「仕事が入る器がないと、それ以上仕事は入ってこない。
たとえ仕事が一時的に途切れても、器があれば、ちゃんと仕事は入ってくる。
そのためにきちんと準備していればそんなに心配しなくても大丈夫。」
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。