Web制作における撮影ディレクション ~事前準備と当日の同行~
2022.06.16 Posted by shigihara.a
Webサイトの目的達成やユーザーからの印象として重要な役割を担う「写真」について、クライアント提供の素材やストックフォトだけではコンテンツにそぐわないということもあるでしょう。
そんな時、新たに写真撮影を行うのはカメラマンですが、撮影に関するディレクション(準備や進行)を行うのはWebディレクターの仕事です。
今回は、私が実際に写真撮影を含む制作プロジェクトに携わった際の、事前準備と当日の撮影同行までの手順を記録します。
目次
写真撮影までの事前準備
まずは、写真撮影までにどのような事前準備が必要なのかご説明します。
アサインとスケジューリング
クライアントへの提案で写真撮影をすることが決定したら、まずはカメラマンのアサインと撮影日のスケジューリングを行います。
外部のカメラマンをアサインする場合に必要な情報として、下記のことを伝え、見積と撮影可能日を提示してもらいます。
- どのような運営目的のWebサイトか
- どういった経緯で撮影することになったのか
- 撮影内容、対象
- 納期の希望
併せて、クライアントと撮影日のスケジューリングを進めていきます。
コーポレートサイト等で社員の方をモデルとして撮影する必要がある時は、一日で複数人のスケジュールを合わせなくてはならないため、先にクライアント側で撮影可能日を調整してもらってから、スケジュールの合うカメラマンをアサインできると良いでしょう。
撮影カットのイメージリスト作成
サイトマップやワイヤーフレームを基に、どのページにどんな写真が入るかをリスト化します。
写真の構図やアングルをストックフォト等から決め、当日の撮影カット枚数をわかるようにすることで、クライアントやカメラマンへのイメージ共有を容易にし、当日の進行にも大いに役立ちます。
香盤表の作成
撮影は、香盤表(こうばんひょう:スケジュール表)に基づいて行われます。
撮影当日はセッティングやロケーションの移動時間を考慮することはもちろん、1カットの撮影に20~30分かかることもあり、時間管理が欠かせません。
当日の撮影をスムーズに行うため、下記のことを記した香盤表を作成します。
- 日時と場所(集合時間/終了時間)
- 撮影する順番
- 各カットの撮影時間と場所
- 各カットの対象モデル
こちらも必ずクライアントやカメラマンとのすり合わせを行い、時間と場所の確保に無理のないように準備を進めましょう。
屋外や窓から光が入る場面での撮影では、日の出/日の入時間も考慮してスケジュールを組む必要があるので要注意です。
ロケハンの実施
可能であれば、撮影カットのイメージリストと香盤表に沿って、ロケハンを行います。この時に撮影の妨げになる物があれば、当日までに一時撤去してもらうようにしましょう。
撮影後、これらの物は現状復帰する必要があるため、元に置いてあった位置を忘れないように注意します。
事前のロケハンが難しい場合は、クライアントにスマートフォン等で撮影場所の写真を送ってもらうと良いかもしれません。
その他の準備
その他にも、必要に応じて以下の準備を行います。
- 小道具…自社からの持参やレンタル品を活用し、業務に関する物品はクライアントに準備してもらいます。
- モデル…服装やメイクについては、事前に共有しておきましょう。
- 駐車場…カメラマンは車で機材を運ぶことが多いため、撮影場所の近隣の駐車場をピックアップしておきます。
- 昼食…限られた休憩時間で近隣の飲食店に行くか、弁当の手配をするか検討します。
当日の同行
撮影当日は、次の流れで進行を進めていきます。
撮影前の打ち合わせ
関係者が集合したら、改めて撮影カットのイメージリストと香盤表を配り、撮影の流れや場所を確認します。
社員の方がモデルの場合、通常業務の合間に協力してもらうことが大半なので、合流時間や連絡方法などを決めておきましょう。
撮影中
撮影自体はプロのカメラマンにお任せして問題ありませんが、ディレクターは撮れた写真の内容や撮影カットの漏れがないかのチェックと時間管理に徹します。時にはカメラマンのアシスタント的に機材をセッティングしたり、モデルに話しかけたりしてリラックスした現場の雰囲気づくりを手伝うこともあります。
撮影カットのイメージリストと香盤表をしっかり準備していても予想外のことが起き、時間がかかってしまって、慌てることもあるかもしれません。そんな時はクライアントやカメラマンの協力を得ながらも、Webディレクターが全体の統括を担っていることを忘れずに、その場の判断をしていきたいところです。
最終チェックと現状復帰
一通り撮り終えたら、撮り残しがないかを最終チェックします。
最後は撮影のために一時撤去した物を元に戻し、現状復帰をして終了です。
まとめ
Web制作に伴う撮影に関するディレクション手順についての記録でした。改めて振り返ると準備することが沢山ありましたが、おかげで当日大きなトラブルもなく、撮影を終えることができたのではないかと思います。
事前準備を万全に行うことが、撮影ディレクションにおいて最も大切なことです。しっかりと準備をして良い写真を撮ることで、より良いWebサイトの表現に繋げていきましょう。
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