営業で成約するための要件
2022.10.09
中小企業では、社長がトップ営業をしている会社は多いです。
そういう当社もその1つです。
「山浦さん、もう現場で営業なんてやってないでしょ!」って言われますが、全然やってますよ。
営業って、奥が深いですよね。いくらやっても「営業得意です」って言えるようにならないです。もう一生、ならない気がします。
「これは受注できたな」って思ったら受注できなかったりする一方、営業したことすら忘れていたぐらい手応えの無かったお客さんから、後日「御社に決めました」って言われたりすることもあります。
故野村克也監督の名言じゃないですが、営業こそ「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」だと思います。
受注できなかった案件については、その時は一生懸命やっているので気づかないですが、後から振り返るといろいろと反省点が出てきます。当たり前ですが、こちらの提案を聞いて、お客さんが他社の提案の方が良いと判断したり、またはどこにも決められなかった場合に失注になります。
他社に仕事をとられて失注する場合にはいくつかの理由があります。
a. 他社の方が値段が安かった
b. 他社の方が提案内容が良かった
c. 他社の方が担当者の人柄や対応が良かった
失注した際に、私は必ずお客さんに「なぜ他社に決められたか、決め手を教えて下さい」とお願いしています。ほとんどのお客さんが親切に教えてくれます。
私の場合、c.はほとんど無いです。これは、お客さんを待たせたり、約束を破ったりしないなど、当たり前のことをやっていればありえないと思います。
a. の場合はたまにありますが、もうこれはある程度はしょうがないと思っています。本当は、価格が高い理由をお客さんにご納得いただけるように伝えられるのがベストですが、ある一定割合のお客さんは、初めから価格優先を決めることを決心していたりするからです。でも実はa.は割合としてはあまり多くありません。
一番悔しいのが、b.の場合です。
商品を販売している会社だと、1回の商談でYes・Noが決まったりするのでしょうが、当社の場合は、Web制作という商材の性質上、必ずヒヤリングをする初回商談と、提案をする次回商談と、商談が最低2回に分かれます。
他社の方が提案内容が良かったと判断されるというのは、言い換えれば、他社の提案の方が当社の提案よりもお客さんに刺さったということです。ではなぜ、他社よりもお客さんに刺さる提案ができなかったのか、私は理由は大きく次の3つがあると思っています。
1つ目の理由は、ヒヤリングの甘さです。お客さんの中にある「こうしたい」「ここに困っている」をいかに聞き出せるか、これを引き出せなかったら、刺さる提案なんてできる訳がありません。
2つ目の理由は、提案内容の深さです。お客さんの問題解決を本質的に解決する提案になっているか。お客さんがこの提案を受け入れたら上手くいくイメージが持てるか。そこまで提案内容を考え、作り込めるか。
3つ目の理由は、お客さんの中に提案の受け皿を作れるかです。ちょっとわかりにくいですが、お客さんが「ぜひあなたの提案を聞きたい」「提案を聞くことを楽しみにしている」「この人の提案を聞かないと損をするかもしれない」という状態をいかに事前につくれるかが意外と大事だと考えています。私も立場上、いろいろな会社から売り込みを受ける立場ですが、たまに勢いで営業マンと商談の約束してしまったけど、後から提案を聞くのが面倒くさいなと感じてしまったりすることもあるのです。そういう状態で聞く提案は、やっぱり全然入ってきません。話を聞きながらも、思わず時計を見てしまったりするのです。受けての中に受け皿を作れて、はじめて2が生きてきます。
どうやったら、受け手(お客さん)の中に受け皿を作れるか、それはなかなか言語化が難しいです。お客さんの性格、お客さんが置かれている状況、商材の内容、商談のタイミング、いろいろな要素によって変わってきます。
ただ1つ言えることは、お客さんをよく観察し、置かれている状況を理解し、良いタイミングで適度なコミュニケーションをとりながら、提案の商談を迎えることなんだと思います。
とは言いつつ、受け手(お客さん)の中に受け皿を作れても、やはり提案内容が駄目だと失注しますので、1.2.3.をきちんと揃えていくのが大事です。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。