IOWN(アイオン)とは?年間投資額1兆円越えの革新的技術で生活はどう変わる?
2023.11.16 Posted by takahashi.r
最近、ニュースやIT関連の情報サイトなどで「IOWN(アイオン)でITの未来が変わる」といった情報を見るようになりました。IOWN 構想には、NTTが2028年までの5年間で関連分野に約8兆円(年平均約1兆5000億円)を投資することが決定しており、多様性のある社会づくりおいて、大きく貢献するといわれています。
今回は、IOWNとはいったいどのようなものなのか、3つの主要技術やWebサイトの在り方がどういった形で展開されていくのか、わかりやすく解説していきます。
目次
IOWNとは
IOWN(アイオン)とは、次世代の光ネットワーク基盤のことです。IOWNは、従来のネットワーク基盤である「電気ネットワーク」から「光ネットワーク」への転換を図ることで、従来にない高速・大容量・低遅延のネットワークを実現することを目指しています。
IOWNを構成する3つの主要技術について
IOWNを構成するには、次の3つの主要技術が必要となります。
オールフォトニクス・ネットワーク(APN: All-Photonics Network)
私たちの暮らしは、その大部分が電気によって支えられています。たとえば、スマホを使うには電気が必要です。テレビも電気がなければ利用できません。電気無しの生活というのは、不可能といっても過言ではありません。
今後、IoTやAIが進化すれば、大規模なデータやエネルギーが送受信されるため、電気だけでは対応できなくなるといわれています。動画の精細化やメタバースなどの新技術の普及などにより、2030年までに国内では現在の約6倍:90TWh、世界全体では約13倍:2600TWhにまで消費電力が増える見込みとなっています。
つまり、エネルギー不足が生じるということです。そのエネルギー不足を解消するのが、「光の技術」の利用です。光は、速度が早く、大規模転送も可能で、消費エネルギーが低い魅力的なエネルギーです。
従来のネットワーク基盤である「電気ネットワーク」から、「光ネットワーク」への転換を図ることで、従来にない高速・大容量・低遅延のネットワークを実現できます。これこそが、オールフォトニクス・ネットワークなのです。
オールフォトニクス・ネットワークには、3つの目標があります。従来よりも電力効率を120倍、伝送容量を125倍、超低遅延を200分の1にするというものです。つまり、どの分野においても100倍以上の向上を目指していきます。
既に超低遅延200分の1については目標達成しているため、今後は電力効率や伝送容量の改善が期待されています。超低遅延による暮らしへの影響としては、その場にいるような臨場感のエンターテインメント体験ができたり、光半導体によってスマホ充電が1年に1回になったりするといわれています。
デジタルツインコンピューティング(DTC: Digital Twin Computing)
IOW構想には、実世界をデジタル上にリアルタイムに再現することで「仮想社会」を構築し、そこでのシミュレーション結果を実世界にフィードバックすることで実世界の効率化を目指すデジタルツインコンピューティングという概念があります。
デジタルツインコンピューティングが実装された社会では、人体をデジタルに複製することでより高精度な未来予測ができるため、患者のレントゲンから~ケ月後の状態を予測することや交通渋滞、交通事故も抑制することができます。
他にも、工場の生産ラインをデジタル化し、故障や不具合を予測することで、生産ラインの停止を未然に防ぐことができます。また、生産ラインの効率化や最適化も可能になります。
コグニティブ・ファウンデーション(CF: Cognitive Foundation®)
コグニティブ・ファウンデーションとは、クラウド~個人端末まで全てのICTを一元管理し、より効率的な通信を実現させる仕組みです。コグニティブ・ファウンデーションを利用することで、ネットワークの状況をリアルタイムに把握できるため、ネットワークの効率化やパフォーマンスの向上が期待できます。
コグニティブ・ファウンデーションは、まだ技術開発の初期段階ですが、今後のさらなる技術発展により、私たちの暮らしを大きく変化させる可能性を秘めた技術といわれています。
Webサイトの在り方はどう変わる?
IOWN構想が実現すれば、情報の遅延がほとんどなくなるため、これまでのような表示速度が重視されない社会となります。その一方で、現在WebサイトにおけるSEOの重要な要素になっている表示速度もそのウエイトが下がり、より一層ユーザーに役立つかどうかというコンテンツ重視の評価に変わっていくでしょう。
大容量の通信も可能になるため、Webサイトはよりダイナミックでリッチなクリエイティブで差別化されていくでしょう。そのため、今後のWebマーケティングは、動画コンテンツの需要が高まり、SEOの観点から上位表示のポイントとして注目を集めていく可能性が極めて高いです。
したがって、制作会社にもこれまでよりもさらに高いクリエイティブ力が求められていくでしょう。
まとめ
IOWN構想が実現した社会では、光が技術の中心になって私たちの暮らしを支えています。そういった中で、動画コンテンツがWebサイトの上位表示を左右する指標となる可能性は高いといえるでしょう。
ただし、これまでと同じように、ユーザーにとって独自性のある価値ある情報を提供するという視点だけは変わらないため、しっかりと対応していきましょう。
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