机上でも成り立たない企画は現実でも成り立たない
当社にくる仕事は、ただ単にデザインをキレイにして終わり、というようなものは少なく、クライアントからは、「現状月に1件あるかないか位の反響をリニューアル後はコンスタントに月10件得られるようにしたい!」というようなオファーをもらうことが多いです。
その時に、何となくコンテンツを増やしてデザインをキレイにすれば月に10件いくかもしれない、というような希望的観測だけの提案はまずいです(でもそういうWeb制作会社が多いのも事実です)。
例えば、月間で1000アクセスあり、反響が1件のWebサイトがあったとします。
この場合、コンバージョン率は0.1%です。
もし10件の反響が得たいなら、次のようなことを実現する必要があります。
・アクセス数を10倍にする
・コンバージョン率を1%まで改善する
・アクセス数を2倍にして、コンバージョン率を0.5%まで改善する etc
まずどのくらいのパフォーマンスを出さなければならないかを算出してみます。
その後に、それが実現するプランを立てる必要があります。
ではここで、反響数を10倍にするために、アクセス数を2倍にして、コンバージョン率を0.5%まで改善するという目標を立てたとしましょう。
そうしたら、アクセス数が2倍になる企画、コンバージョン率が0.5%に改善しそうな企画を立てるんだ!ということを決意します。
SEOで1位をとっても、そこからWebサイトにアクセスする人は3割程度です。
だから、例えば月間1000件の検索数のキーワードで1位をとれても、Webサイトの月間アクセス数は300件しか増えません。
アクセス数を2倍にするには、今上位表示されているキーワードとは別に、新たに月間検索数が3333件以上あるキーワードで1位をとるか、複数のキーワードでそれと同等のアクセス数をカバーする必要があります。
それが難しいならば、リスティング広告を打つなどする必要があります。
同じように、コンバージョン率を0.1%から0.5%にするのも、直帰率や離脱率の多いページの改善や新規ページの追加によってどれだけの数値が改善されるか、を考えていきます。
全てが数値で計算できるわけではないですが、少なくとも「この程度の企画じゃ、アクセス数2倍、コンバージョン率5倍は無理だよね!?」というのが何となく分かってきます。
こうやって企画を考えていきます。
デザインキレイにするだけじゃ、絶対に反響率は10倍にはなりません。
これらは、机上の空論かもしれませんが、机上の空論とは言い換えれば“仮説”であり、もし実際にやってみて十分な成果が得られなかったとしても、仮説があることで、どこが仮説と違ったのかを検証することができるし、その後のPDCAがまわせます。仮説がないと、それができません。
机上の空論すら成り立たないような希望的観測だけの企画では成果は出ないし、PDCAも回せません。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。