体系的破棄
2016.05.27
昨日、4月入社の新卒社員研修でP.F.ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』を読み合わせしました。
新卒社員には、「速読せずに、熟読してね」と言って、入社1ヶ月前ぐらいに渡しておいたのですが、なかなか難しく感じたようです。
研修では、プロフェッショナルとしての心構え時間管理やコミュニケーションなど、この本を読みながら、私の経験なども交えて話をしました。
■半年前にもこのメルマガでこの本の“コミュニケーション”に関する章をシェアしたのですが(→こちらの記事です )、本日は、“体系的廃棄”についてシェアしたいと思います。
これは、ドラッカーの『マネジメント』や『イノベーションと企業化精神』にも記載がありますが、この著書ではプロフェッショナルとしてのあり方として触れています。
P32
組織は、製品、サービス、プロセス、技能、人間関係、社会関係、さらには組織自らについてさえ、確立されたもの、習慣化されたもの、馴染みのもの、心地よいものを体系的に破棄する仕組みを持たなければならない。<略>
知識の特筆は、それが急速に変化し、今日の当然が明日の不条理となることである。
<略>
新しい組織社会では、知識を有する者が、4・5年おきに新しい知識を仕入れなければならない。
さもなければ時代遅れになる。<略>
P34
数年ごとに、あらゆるプロセス、製品、手続き、方針について、「もしこれを行っていなかったとして、今分かっていることをすべて知りつつ、なおかつ、これを始めるか」を問わなければならない。
もし答えがノーであれば、「それでは今、何を行うべきか」を問わなければならない。
■Webサイトの作り方も、ここ10年間でCMSなどの登場により全く違ったものになっています。
そんなことも例にあげながら、新卒社員に「社内のワークフローや仕事のマニュアルは技術の進化や状況に応じて変化していくものです。
だから
“本当にこれは必要なのか”
“答えがNoなら今何が必要なのか”
そういう視点を持って仕事をしてね」
と伝えました。
■マニュアル化や習慣化って、本当に大事です。
無いと効率的に仕事ができないし社員を増やしていくこともできません。
しかし一方で、黙っているとマニュアルはどんどん増えていきます。
そして、いつしかマニュアル通りにやることが目的になり、それに誰も疑問を持たなくなり、さらには、慣れたやり方を変えたがらなくなり、マニュアルを作った当初の目的が忘れ去られてしまいます。
そうやって、組織がどんどん硬直化、非効率になっていきます。
どんな小さな組織でも“大企業病”になります。
“時代遅れ”にならないために率先して新しい知識を仕入れ古いやり方を廃棄するのはリーダーであるあなたの役割です。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。