フルリニューアルの前にやるべきこと
2019.09.02
当社はWeb制作事業をしていますので、当たり前ですけど、「Webサイトをリニューアルしたいのですが」というご相談を日々たくさん受けます。
もちろん、当社の売上になりますのでWelcome!なのですが、中には「必要なのは、本当にリニューアルなのですか?」というお客さんもいらっしゃいます。
■お客さんが「リニューアルをしたい」と言う理由はいろいろです。
「デザインが古くなったので新しくしたい」
といった場合は、リニューアルするしかないのですが、
「ユーザビリティやコンテンツを整備して、もっと反響率を高めたい」とか、
「アクセス数を増やして、もっと売上げを上げたい」
といったことが目的の場合は、フルリニューアルをするよりも、今のサイトを改善した方が早く簡単に結果を出せるという場合が少なくありません。
■以前、某大手クレジットカード会社のサイト運営をお手伝いさせていただいておりました。その時の課題が、「Web経由の新規カード会員数を増やす」でした。
私がやったのは、入会を促すランディングページを作り、トップページにそのランディングページへの誘導バナーを作っただけです。それだけで、カード会員数が伸びました。
■もっと大掛かりに予算を使ってフルリニューアルすることもできましたが、しませんでした。理由は、アクセス解析などの結果から、会員数が伸びないのは、デザインなどではなく、このカードの魅力が全然伝わっていないからではないかという仮説があったからです。
もしその仮説が当たっていればそこを改善するだけで、カードに登録する人が増えると思ったのです。いっぺんにリニューアルをすると上手く行っても行かなくても、どの施策が要因だったのかどうしても分からなくなりがちというのもありました。
■アクセス解析を見ているといろいろな数字が拾えます。
週末でも良いので、少しまとまった時間を作って、その数字をよーく見てください。
お客さんの気持ちになって、検索エンジンから自社サイトに訪問し申込みまで、実際に自分で操作してみてください。そして、気づいたことをどんどんメモしてください。
それを優先順位の高いもの、今すぐできそうなものから改善してみます。それだけで、成果が出ることがあります。
改善したら、その結果どうなったのか必ずモニタリングします。
■もちろん結果が出ない時もあります。
でもそれも「結果が出ない方法を1つ知った」という意味で非常に大事ですし、その積み重ねが、御社の知見になります。
■そんな改善を続けているとある時点で、これ以上の改善はプロの力を借りた方が早いとか、フルリニューアルしたいと思う局面になります。
その頃には、ご自分でいろいろと試行錯誤し、知見も溜まっているはずです。
そのような状態でフルリニューアルをするのと、なんとなく「やっぱりプロにリニューアルをお願いしないといけないのかな?」と制作会社に丸投げするのでは、結果も変わってくる気がしませんか?
制作会社にリニューアルを丸投げするのではなく、まずは自分で考え、小さな改善を積み重ねてみる、その経験は絶対に財産になります。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。