弁護士の独立にあたって、どんなWebサイトを作るべき?
私は弁護士です。5年間、都内の法律事務所に勤めてきましたが、この度、独立することになりました。独立にあたってWebサイトを持ちたいのですが、どのようなWebサイトにするべきでしょうか?
またどの程度の予算が必要でしょうか?
まず最初に考えなければならないのは、どういう人たちを相手に、どのような業務を行うのかです。一口に弁護士といっても、そのスタイルは多岐に渡ります。法人向けに活動している人もいれば、一般の個人向けに活動している人もいます。さらに法人向けでも、国際法務専門の人もいれば、M&A専門に活動している人もいます。どのようなスタイルで仕事をするかで、Webサイトの役割や形式は異なってきます。
ここでは、一般の個人向けに法律事務所を開設する場合を想定して書いてみます。
Webサイトの役割としては、主に次の2つです。
・集客のためのWebサイト
・事務所紹介(会社紹介)のためのWebサイト
集客は人脈などに頼り、Webサイトには期待しないと割り切るであれば、「事務所概要」「弁護士のプロフィール」「実績」「事務所へのアクセス方法」「お問い合わせ方法」などが掲載されていれば十分です。 しかし当然ながら、これだけの内容では集客のためのWebサイトにはなりません。
集客するためには、SEO(検索エンジンの検索結果に上位表示)をするか、もしくは広告を使ったり、メルマガやFacebookで大量の顧客リストを持っている人に紹介してもらうなどが必要になります。
後者は、スタートアップ時、開業資金が尽きる前にお客様をつかむために必要な手段ですが、開業時に継続して行うことは難しいでしょうから、基本的には前者のSEOが中心になっていきます。
検索結果で上位表示するには、検索エンジンに「このサイトは、○○というテーマにおいて、重要なWebサイトだ」と認識してもらわなければなりません。
どうしたら、そのように認識してもらえるか。
大きくは、次の2つになります。
1)そのテーマについて、オリジナルな情報が他のWebサイトより充実している
2)他者から支持されている(リンクされている)
1)をSEOの内部対策、2)を外部対策と言います。1)も2)も必要なことですが、2)についてはリンクの売買などが横行した結果、検索エンジンによる取り締まりが強くなり、対策しづらくなっています。そして、1)を重視する傾向にあると言われています。
つまり、上位表示したいテーマについて、オリジナルな情報が他のWebサイトより充実しているということが、上位表示の大前提ということです。
SEOには細かなテクニックはいろいろありますが、どんなテクニックを使っても、情報が充実していないWebサイトを上位表示することは不可能なのです。
例えば、もしあなたが「離婚調停」という問題を中心に扱う法律事務所を新宿地域に開設するのであれば、Webサイトに事務所のウリやサービス内容を載せるのはもちろん、新宿地域のどの法律事務所よりも「離婚調停」に関する情報を充実させなければなりません。
情報を充実させると言っても、具体的にどんな情報を書いていけばよいのか悩んでしまいますね。
多くの人が、適当に思いついたコンテンツを作っていくのですが、それよりも確実に効果のある方法があります。
それは、実際に「離婚調停」について検索エンジンで検索される複合キーワードを調べ、その調査結果にもとづいてコンテンツを書いていくということです。
具体的に調べて行くと、例えば、「離婚調停 費用」や「離婚調停 期間」といった「離婚調停」に関する複合キーワードです。
調べ方は、「google キーワードツール」というものを使います。
このツールを使うと、どのようなキーワードが実際にどのくらい検索されているかが分かります。
このような実データなどを参考に、少しずつWebサイトにオリジナルな情報を増やしていきます。
そして、titleタグなどにキーワードが入るように作るといった基本的なSEOを施せば、「離婚調停 新宿」といったキーワードでの検索順位がジワジワと上がっていきます。
しかし、SEOを中心とした戦略には2つの難点があります。
1つは結果が出るまでに時間がかかることです。
コンテンツを書き起こしていくことにも時間がかかりますが、それを検索エンジンに認識してもらうにも時間がかかるのです。
ですから、努力をすぐに今月や来月の売上につなげるのは難しいことが多いです。
このような場合は、リスティング広告などを使ったり、メルマガやFacebookで大量の顧客リストを持っている人に紹介してもらうなど、SEOだけの待ちの姿勢ではなく、積極的に打って出る姿勢が必要です。
もう1つは、地域密着ビジネス全般に言えるのですが、その地域にそもそもインターネット上の見込み客がいない場合です。
魚のいない釣り堀でどんなに頑張っても釣れるわけがありません(あまり良いたとえでなくてすみません…)。
その場合は、狙うテーマを変えたり、商圏を広げる、もしくはWebサイトはあくまで事務所紹介程度にして、インターネット以外の集客方法に注力するなど、集客戦略を再考する必要があります。
* * *
さて、Webサイトの制作・運用予算ですが、開業当初は、極力予算をかけるべきではありません。
もし、ある程度のPCスキルがあるのであれば、ホームページビルダーなどを使って、ご自分で制作・更新できるようにするのが、最も安上がりです。
最初はアクセス数も少ないでしょうから、サーバも月々1000円程度のもので十分です。
多少お金がかかっても初期制作の手間や時間を短縮したいということであれば、安価なCMSの導入がオススメです。
例えば、当社のサイト職人CMSの「クイックオーダープラン」ならば、初期費用5万、月々4700円でサーバと更新ツールが手に入ります。
いずれにしても、集客用のホームページを持ちたいのであれば、いつでも情報を追加・修正できるようにしておくことが大切です。会社がある程度の規模になってくるとデザインの重要度も上がってきますが、開業当初は、ある程度きちんとしたデザインテンプレートであるならば(あちこちで安く販売されています)、デザインにお金をかけるのではなく、コンテンツを充実させることに注力した方が良い結果が得られるはずです。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。