ゴルゴ13とマネジメント
2021.10.09
先月9月24日に『ゴルゴ13』の作者である、さいとう・たかをさんが84歳で亡くなりました。
ゴルゴ13は53年間続いてきたのだそうです。53年間・・・凄いですね!デューク東郷はいったいいくつなんでしょう。
ゴルゴ13を連載しているビックコミック編集部は、さいとう先生の死去と併せて、その遺志をついで『ゴルゴ13』の連載を継続することも発表したのですが、そのコメントを見て、会社経営についていろんなことを考えさせられました。
こちらが編集部のコメントです。
さいとう氏は生前から「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続いていってほしい」という、いわば分業体制の究極とも言えるご希望を持たれ、さいとう・プロダクションを、そのような制作集団として再構築されました
引用:Yahooニュース
調べたら、「さいとう・プロダクション」は今から51年前の1960年(昭和35年)に設立されたようです。随分、早い段階から、分業を意識されていたのですね。
さいとう先生の分業は業界では有名で、デューク東郷の目しか書いていないという都市伝説が生まれるぐらいでした。
さいとう先生は、筋書きを書く人、絵を描く人など、自分より優れた才能を集めれば、1人でやるより優れた作品になるはずだ、という考えたそうです。
難しい仕事も、分解すれば、それぞれの持ち場で力を発揮できる才能がある。これって、事業家にとっても、すごく大事な考え方ではないでしょうか。
普通は、売れっ子漫画家先生がいて、そのまわりにその先生の作業を補助するアシスタントがいるというスタイルです。でも、さいとう先生は、スタッフをアシスタントではなく、優れた作品をアウトプットし続けるために必要な才能として活かそうとしました。ここに会社を長く経営し続け、さらには自分の死後にも続くようにするコツが集約されていますよね。
(そう言えば、鉄鋼王カーネギーも自らの墓碑に“おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男ここに眠る”と刻ませましたが、それに通ずるものがありますね。)
私は30歳で起業して、10月1日で創業して丸17年が経ちました。
30代のときは、勢いにまかせてやってこれました。
今は流石に30代の頃よりは効率よく仕事できるようになりましたが、40歳も後半になってくると、徹夜のような無理は効かなくなるし、体力的には衰えを感じる場面があります。「社長の経営意欲の減退が最大のリスク」という言葉がありますが、いくつものやる気を萎えさせるような経験もしてきて、その意味もだんだんとわかるようになってきました。
経営者(特に年齢が若ければ若いほど)は、自分も社員も歳をとることを忘れがちです。しかし、会社経営においてかなりクリティカルな問題だと思うのです。そして、この事は“起業は簡単だけど続けるのははるかに難しい”と言われる大きな理由の1つでもあります。
さいとう先生が、コアなファンに向けて、ほとんど休まず、53年間品質を落とさずに、分業体制を通じて無理なく連載を続けてきたこと。そして今後も先生の意思を継いで、プロダクションが連載を継続していくというニュースは、私たち事業家にいろんなヒントと勇気を与えてくれるのではないでしょうか。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。