ウェブラボ代表の山浦が、
Web担当者・経営者・起業家に向けて配信するコラム

Webを集客に活用したい人のための
Webサイト・マネジメント術

最新のトピックや実務家ならではの身近なちょっとした疑問に回答しています。

企業ブランディングの初歩的な質問

2023.07.29

私達が行うWeb制作の仕事では、基本的にはクライアント側で既に全体のブランディングやマーケティング方針が決まっていて、その中でWebマーケティングに求められる結果を出すための各種施策や表現を考え、実行していきます。
逆に言えば、上流の全体のブランディングやマーケティング方針を決定する工程に関わることはあまりありません。
しかし、最近は、古くからのお客さんから、もう一度、ブランディングからやり直したいから力を貸して欲しいと言われることが増えてきました。
クライアントも歳を重ねてきて、そういうリブランディングの時期に差し掛かってきたのか、私自身がそれなりの年齢になって、会社経営の年数もそれなりになってきたので依頼されるのかはよく分かりません。
しかし、なかなかプレッシャーのある仕事です。
私自身、心のどこかで「お前が偉そうに言える人間か?」という思いもあるし、その経営者や会社の運命をも左右しかねないほど重要なことなので、無責任なことも言いたくありません。
一方で、結局は上手く表現されていないだけで、その経営者の中にあるものを引き出し、言語化・視覚化する手伝いであり、私がクリエイトするようなものではないものだと思えば、Web制作のディレクションに似ているとも思います。

 

ブランディングと言っても、ロゴやWebサイトのデザインをどうするかという表層的な話ではなく、会社そのもの、または会社と提供するサービスで、どういう世界観を表現していくか、またはどうありたいかという、もっと本質的な話です。
ここで重要になってくるのが質問です。
質問は表層的すぎても深い思考にたどり着けないし、深すぎたり抽象的すぎても思考が止まってしまいます。
結構難しいのですが、答えやすいけど本質に迫るような質問を心がけています。
会社や社長の近況も含めていろんな質問をしますが、大体、次のような質問をします。

 

  • なぜ起業したのですか?
  • 今はどんな顧客にどんな商材を展開していますか?
  • 顧客はどんな人または企業ですか?
  • 他に選択肢があるにも関わらず、なぜ顧客は御社から購入するのですか?
  • 仕事をしていて嬉しい時はどんな時ですか?
  • 5年後(または10年後)に会社の規模はどのぐらいになっていますか?
  • その時、どんな社員が働いていますか?組織構成は?
  • その時、どんな顧客にどんな商材を展開していますか?商品ラインナップは?
  • その時、どのようなライバルがいますか?
  • ライバルと比べたときの御社の強みは何ですか?
    (強みが弱みの時がある)
  • ライバルと比べたときの御社の弱みは何ですか?
    (弱みが強みの時がある)
  • その時、顧客が御社の社名やロゴを見た時にどんな感情や印象を抱いてもらいたいですか?
    (顧客がその際に口にするセリフ)
  • 絶対に譲れない、大事にしたい価値観は?
  • 社会にどのような貢献をしますか?どんな価値を提供しますか?
    (答えづらいので、些細なことでよいから思いつくかぎりピックアップし、出てきたものを抽象度を上げて表現してみたりする)

 

私も経営者なのでよくわかりますが、こういう本質的な質問は本当に答えづらいです。だから、答えづらそうなときは、少し角度を変えて、答えやすそうな質問をしたりします。
例えば、私がよくやるのは、“したいこと”が答えづらそうなときは“絶対にしたくない”ことを聞いてみるということです。
例えば、理想の顧客像や社員像を聞く代わりに、「絶対に付き合いたくないお客さんってどんなお客さんですか?」と聞いたり、大事にしたい価値観を聞く代わりに、「こういう仕事だけは絶対にしたくないというのはどのような仕事ですか?」と聞いたりします。そうすると、不思議と“したいこと”が見えてきます。

 

こうして、出てきた情報や言葉を丁寧に紡いでいきます。いきなり100点満点のものを作ろうとすると挫折するので、30点でも良いからとにかく1度形にして、その後に少しずつブラッシュアップしていくような意識の方が良いです。
社員がいる場合は、社員も巻き込んでやっていくのも良いと思います。当社もそうでしたが、自分が当たり前だと思って言語化していなかったことを、社員が表現してくれたりします。

 

周りの上手くいっている経営者を見ていると、こういうことを自分の言葉で話せたり、明確なイメージを持っている人が多いなと感じます。思考は現実化するということなのでしょう。

山浦 仁

山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役

大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。

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