「直帰率が低い」は本当に自慢できることなのか?
2016.04.11
先週、クライアントである歯科のAさんと打合せをしている時の会話です。
A「今、歯科医院専門のマーケティング勉強会に行っててね」
私「相変わらず勉強熱心ですね」
A「そこで、講師のコンサルタントから“直帰率が高い”って言われたんだよね」
私「まぁ、低くは無いけどそんなに高くもないですよ」
A「でもその人は、直帰率を30%台にしないといけないって」
私「それは凄いですね。」
といって、その歯科コンサルタントが見本に見せてくれたという歯科サイトを見せてくれました。
郊外の歯科であるにも関わらず、しっかり作ってあるサイトでした。
でも何か特別なことをしているサイトかと言ったらそうでもない。
直帰率30%台にも見えない・・・
■そこで、ピンと来ました。
Similar Webというサイト視聴率ツールを見ると、アクセスが少なすぎてデータが出てきません。
さらに、検索キーワードも、その医院の名前そのものや「地元駅名+歯科」といったニッチキーワードでしか上位表示されていません。
やはり、思った通りです。
非常に“濃い人”しか来ていない。
その地域には、歯科医院が少なく、選択肢が他に無いから、その歯科医院のサイトが良く見られているわけです。
■一方、Aさんのサイトは、症状名をはじめとしたいくつかの一般ワードで上位表示されています。地元駅名の掛け合わせキーワードでも1位です。
Aさんの医院のある町は、雑誌の「住みたい町ランキング」でいつもベスト3に入る人気の町なので、地名もそれなりの検索ボリュームがある人気キーワードだったりします。だから競合も多いので、比較検討されやすい。
こうなってくると、コンサルタントが例に出したサイトのように直帰率30%台にはなかなかなりません。
広告をやったり、SEOでもビックワードで上位表示したりすると、もっと高くなります。
■別に、コンサルタントが紹介した郊外の医院が悪いと言っているのではありません。
郊外の医院とは背景が違うのです。
直帰率というのは、集客の間口が広がれば広がるほど高くなるものです。
逆に、会社名などの検索キーワードでしか集客できていないような状態だと、直帰率は低くなります。
もちろん、直帰率を下げる努力は常に必要ですが、直帰率が低いのは“集客力が弱いから”という可能性もあるのです。
客数が足りてないのに直帰率が低かったら直帰率が低いことを喜んでいる場合ではありません。
直帰率なんてを気にしてないで、さっさと積極的に打って出よ!という合図です。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。