自分は何を売っているのか!?
2019.12.02
マーケティングにおいて、自分たちが何を売っているか理解する(というより意識する)ことは非常に大事なことです。
■昔、当社にいたディレクターの話です。
T君は新卒で当社に入社し、6年目にはチームを1つ率いて活躍してくれていました。
ある程度の入社年数が経つと、新規の案件を獲得してくることも、ディレクターの仕事の1つになります。
T君は新規案件の獲得が非常に上手なディレクターでしたが、そんなT君も最初は全然思うように新規案件が獲得できませんでした。
■彼は当初、当社のオリジナルCMSである「サイト職人」を中心に扱っていました。
サイト職人には、価格プランが松竹梅の3つあります(ちなみに今は4つ)。
梅は、テンプレートをセットするだけの激安プラン、
竹は、デザインをお客様に合わせてカスタマイズする安価なプラン、
松は、デザインだけでなくSEO対策や競合分析など、プランニングが付いた一番高いプランです。
T君は、新規案件獲得を担当するようになって、最初は梅と竹プランしか売れなかったんですね。それが、しだいに松プランもどんどん契約してくるようになりました。
■そこでT君に、「なんで、契約とれるようになったの?」と聞いてみたことがありました。そうしたら、こんな答えが返って来ました。
「以前は、商品を売りにいくという感じでした。でも最近は、お客さんの問題解決をしにいく意識で、客先に行っています。そしたら、CMSの機能説明とかしないで契約になることもあるくらいです」
■梅と竹プランばかりの契約だった時は、価格で他社に負けることもあったそうです。
価格勝負になるのは、お客さんが値段以外の判断基準が分からないからです。
お客さんの心に刺さる値段以外の判断基準は、お客さんの求めている結果にどれだけ寄与できるかです。
■例えば、あなたが女性で、簡単な棚を作りたくて、東急ハンズにドリルを買いに行ったとします。売り場には、ドリルがずらっと並んでいますが、スペックとか見てもよく分かりません。
でもそこに、実際に空けた穴の見本があって、「女性でもこんな綺麗な穴が空けられます」と女性の字でポップがあったら多少高くてもきっとあなたはそれを買うはずです。
逆にもし、そんな表示が何もなければ、「家でちょっと穴空けるだけだし、一番安いのでいいや」となります。
T君が上手くいくようになった理由も同じです。
■商品への思い入れが強い人であればあるほど、商品のことばかり話しがちです。
お客さんの欲しい結果にフォーカスして話すと、プレゼンテーションがガラリと変わります。
これはサイトでも一緒です。
何だかいつも価格勝負だな、スペックばかり話しているなと思ったら、マーケティングの世界でとても有名な次の言葉を思い出しましょう。
“ドリルを売るな、穴を売れ”
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。