ウェブラボ代表の山浦が、
Web担当者・経営者・起業家に向けて配信するコラム

Webを集客に活用したい人のための
Webサイト・マネジメント術

最新のトピックや実務家ならではの身近なちょっとした疑問に回答しています。

ターゲット理解から全てが始まる

2021.08.01

ターゲット

我々は、日々、クライアントのWeb制作をしていますが、その際にWebサイトのターゲット(「ターゲット」という言い方があまり好きではないので、以下「お客さん」と言います)を知ることはとても大事です。
そもそもこのWebサイトはどんな人が見に来るのか、その人たちにどんな行動をとって欲しいのか、そのためにはどんな情報をどんな順番で提供する必要があるのか、それを考えることはWeb制作の肝中の肝です。

 

 

そもそもお客さんはどんな人?

まずはお客さんの属性を考えていきます。いわゆる「デモグラフィックデータ」です。性別、年齢、職業、家族構成、居住地、年収などです。B2Bの場合は、担当者のデモグラフィックデータだけでなく、その企業の売上規模、社員数、業種、オフィスの住所なども考えていきます。
この時、「お客さんの属性って言ったって、いろんな人がいるよ」という方もいると思います。その場合もまんべんなくいろんな属性の人がいるというよりは何らかの傾向はあるものですので、とりあえず最も典型的なお客さんの属性でOKです。既存のお客さんの中から、最も理想的だったお客さんを選んでも良いです。

 

 

そのお客さんの悩みは?どんな情報を求めている?

次にそのお客さんの不安や悩みといった内面を考えていきます。いわゆる「サイコグラフィックデータ」です。具体的には次のような質問に答えていきます。

 

  1. お客さんは購入前、どんな問題、不安や不満、悩みを抱えていたのか
  2. その商品を購入しようと思ったきっかけ
  3. どんな選択肢を検討したか
  4. 購入する時に重視したポイントと購入(決定)した理由
  5. 実際に購入してみてどうだったか

 

想像力を働かせて書き出していくのも良いですが、できれば複数人の実際のお客さんにインタビューできるのが望ましいです。新規事業の場合で実際のお客さんがいない場合は、想定ターゲットに近い身近な人に聞いてみます。生身の人間に聞くと、絶対に自分一人の想像力だけでは思い至らない情報が出てくるものです。

 

ちなみに、お客さんの不安や悩みはQ&AサイトやAmazonの関連書籍のレビューなども参考になったりします。

 

 

お客さんの「比較軸」は?

お客さんのリサーチをすると、お客さんの「比較軸」が浮かび上がってきます。
比較軸は1つではないです。
例えば、保険であれば、「補償内容」「保険料」「支払い条件」など。
Web制作であれば、「提案内容」「価格」「デザイン力」「これまでの実績」「担当者の人柄」などです。
お客さんによって各比較軸の比重の置かれ方は異なってきます。どの比較軸を重視するかを念頭に置きつつ、漏れなく比較軸の項目を挙げられることが重要です。これらの比較軸が浮かび上がってくると、必然的にWebサイトに掲載すべき要素(情報、コンテンツ)がわかってきます。

 

 

お客さんはどこから来て、どんな行動をとってもらいたい?

次に考えることは、Webサイトの「入り口」、つまりお客さんがWebサイトにどうやってくるかです。検索エンジン経由なのか、SNS経由なのか、それとも広告経由なのか。検索エンジン経由なのであれば、どんなキーワードで検索してくるのかをイメージします。
そうしたら、次はWebサイトの「出口」、つまりお客さんにWebサイトでどんな行動をとってもらいたいかを考えます。ここを案外適当に決めてしまう人が多いのです。例えば、「出口」を「資料請求」とするのか「お問い合わせ」とするのかで、Webサイトの反響率はかなり変わってきます。当然、「資料請求」の方が反響率は良くなります。お客さんにとって行動のハードルが低いからです。その代わり、「お問い合わせ」よりも成約までもって行きづらいので、資料請求してもらった人に、どのような営業活動をしていくかが大事になってきます。出口を「お問い合わせ」にした場合は、本気度の高い人のみに絞られる反面、そのハードルを超えられなかったお客さんとの接点を逃しているとも言えます。
ここは企業によって結構考え方が異なります。できるだけ反響率を上げたいので、出口のハードルを下げる企業もあれば、営業活動のマンパワーが限られているので、できるだけ良いお客さんだけに絞りたいという企業も多いです。

 

 

お客さんからどう見えるべきか

ここまで来たら、あとはお客さんがWebサイトに来た時に、お客さんにまずどう見えているべきか、そしてクリックした先のページでどう見えているべきか、さらにクリックした先のページで・・・という感じで出口に辿り着くまでを考えていきます。こうやって、Webサイトの主要な動線ができあがってきます。

 

Webサイトを作る時、どうしても企業側・制作側の目線でWebサイトをどうするか考えがちです。そうすると、一見カッコいいWebサイトに見えても、独りよがりなものになりがちです。そうではなく、常にお客さんを基軸に考えていくことがポイントです。

山浦 仁

山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役

大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。

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