価格表を掲載すべきか?するべきではないか?
2017.03.16
当社はリフォーム業を営んでいます。
お客様からよく「いくらでしょうか?」「料金表はありますか?」とご質問をいただきます。
当社はお客様の要件に合わせて、御見積を提案するスタイルで、かつサービスの良さが売りなので、決して価格が安いわけではありません。
経営コンサルタントの神田昌典先生の書籍に、「価格が不明瞭な業界で、価格を明確にすると儲かる。」という有名な言葉がありますが、やはり、Webサイトに料金表を提示した方が良いでしょうか?
当社も案件毎の要件によって、たとえ同じページ数であっても見積り金額が変わるので、お気持ちがよく分かります。
まず、価格をWebサイトに開示するメリットとデメリットを整理してみましょう。
【価格を見せることのメリット】
・明らかに予算感の違う(低い)お客様を排除でき、営業効率が上がる。
・最安値の場合は、圧倒的に競争力が出る。
【価格を見せることのデメリット】
・値段が他社より高い場合に、お客さまがその理由を理解する前に去ってしまう可能性がある。
■恐らく神田先生の言葉は、ネットがそれほど普及していない時代のもので、電話帳広告などを想定したものだと思います。
ネットでも当てはまるとは思いますが、1つ気をつけなければいけないのは、ネットはオフラインと違って、簡単に比較検討ができるメディアだということです。
だから、最安値の時は、オフラインよりも価格開示の威力は強くなりますが、逆に最安値じゃない場合は、逆の威力も強くなります。
例えば、私はよく楽天で買い物をしますが、同じ商品をいくつかの店舗で販売している場合は、必ず値段の安い順に並び替えて、
最安値の店舗で購入します。
この場合、最安値の店舗は、お客さんを総取りしている可能性があります。
しかも、比較検討できるのは、お客さんだけではなく、競合他社も!です。
こうなると、それらの店舗同士で最安値競争になりますし、お客様が御社と競合他社に相見積りをしていた時に、御社がWebサイトに開示している価格を見て、意識してその価格より下げてくる可能性もあります。
家電量販店などにある「他社より1円でも高ければ言って下さい」というヤツです。
■比較検討が容易ということ以外にもう1つ注意したいことがあります。
価格を開示する場合、Webサイトのメニューに「価格」というボタンを表示することになると思います。
普通、Webサイトのメニューバーは、横並びのメニューバーならば、左から順番に読まれるし、縦並びのメニューならば、上から順番に読まれるのですが、「料金」や「価格」といったボタンが入った瞬間に、並び順を無視して、トップページの次に見られるページになってしまうことが多いのです。
御社の場合、サービスを売りにしていて最安値ではないとのことですので、もし価格を開示するなら、この部分を十分に念頭に置いとく必要があります。
対面営業やDMなどの場合は、どれだけ手間をかけているかや、良い材料を使っているかなどを十分に伝えた後に価格を提示できますが、Webサイトはこれが結構難しいのです。
■では、御社のように最安値ではない場合にどうするかということですが、いくつか対処方法はあります。
【事例で見せる】
1つは、「価格」というページを作るのではなく、事例で値段を見せる方法です。
どんな丁寧な仕事をしたのか、どんな材料やこだわりがあるのかをきちんと伝えて最後に価格を見せます。
「渡辺篤史の建もの探訪」みたいなイメージといえば、建築業界の人には伝わるでしょうか。
建物の良さやこだわりを十分に見せた後に建築費をサラッと出す方法です。
【御見積ボタンを設置する】
価格表を掲載する代わりに、「御見積依頼」というボタンを設けて“すぐに見積りを出しますよ”ということを伝える方法です。
Webサイトの反響数は上がります。
但し、予算感の合わないお客様からのコンタクトも増える可能性はありますので場合によっては、一旦簡易的な御見積を出せるようにするといった業務修正が必要になるかもしれません。
【最低料金のみを掲載する】
当社の場合は、ウェブラボ本体の方では価格を開示していません。
様々な要件の案件があるからです。
しかし、サイト職人.comの方では、こちらはパッケージ化されたブランドなので、最低料金を掲載して、そこからオプションを加えていくような料金表を開示しています。
最低料金に価格競争力があるなら、こういう方法もあります。
以上、ご参考になれば幸いです。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。