TV-CMでの好感度が逆回転
2022.04.17
私、ほとんどテレビを見ません。だけど、3つだけ見ているテレビ番組があります。そのうちの1つが、毎週土曜日の早朝にやっている建●探●という番組です。建築好きなんです。
以前、その番組のスポンサーをしているA社(厳密に言うとその子会社)からWebサイトをリニューアルしたいのでプレゼンに参加して欲しいと依頼がありました。
私、思いました。
「おっ、あの建●探●のTVCMでよく見るA社じゃん!絶対この案件獲ろう」
聞くと、当社を入れて5社競合でした。
受注できたときの金額も大きかったので、結構、気合を入れてプレゼンの用意をしたんです。
結論から言うと、その仕事は採れませんでした。
この仕事を長くやっていますから、プレゼンに落ちることは慣れっこです。そんな時は、「自分の実力が足りなかった」「自分よりもクライアントにとって良いプレゼンをした競合がいた」と思い、仕方がないと早めに気持ちを切り替えるようにしています。
しかし、A社のプレゼンだけは結構引きずりました。
理由はプレゼンに落ちた理由を聞いて、納得が行かなかったから。そして、それ以来、私はA社が大嫌いになりました。
私はプレゼンに落ちたとき、必ず「今後の参考のために、他社に決めた決め手を教えて下さい」とお願いしています。
たいていはちゃんと教えてくれますし、中には本当に参考になる、競合を褒めたくなるような理由を聞けることもあります。
A社の場合は、それを聞く前に落選通知メールが着たのですが、そこに書かれていた理由がこんな理由でした。
「(決済者である)上司から、まず5社のうち一番高い見積と一番安い見積を出した制作会社を落とせと言われました。御社は一番安い見積でした。」
つまり、プレゼンの内容すら見てないということ。
しかも理由が見積価格が一番安かったから。
まず、そもそもプレゼンに決済者であるその上司が出席する予定だったのに、出席しなかったことがガッカリでした。そして、落選理由を聞いてさらに気分が悪くなりました。
提案資料作るのって大変なんですよ。そんな5分、10分で作れるものじゃなく、何日もかけて準備するんです。そういう労力を鼻で笑うような対応でした。
今でもA社のTV-CMを見るたびに、気分が悪くなりますし、自分が家を建てる時は絶対にお願いしないでしょう。番組は好きですが、社名すら聞きたくないので、CMはスキップします。早くスポンサーを降りてほしいです。
クライアントを大事にするのは当たり前ですが、私は社員には発注先を丁寧に扱うように口酸っぱく言っています。上記のように、当社が発注側になっていくつかの企業を比較検討するようなケースで取引に至らなかった企業に対してもです。
クライアントの担当者だった人が、別の会社に移籍したり、場合によっては当社の発注先に移籍したことがありましたし、逆に当社の発注先にいた人が、クライアント企業に移籍したこともあります。どこでどのようにつながるか分かりません。
一流の企業は、コンペのやり方もコンペに参加した企業に対する扱いも非常に丁寧です。参加してくれたことに感謝してくれていることがきちんと伝わってきます。担当者も意識せず自然にそういう立ち振舞ができているので、そういう企業文化なんだと思います。
そんな時、「あぁ、流石だな」と思います。
「真実の瞬間」とはよく言ったもので、いくら高感度を上げようとブランディングやマーケティングをしたって、いやむしろやればやるほど、実際の外部の人との接点がNGだとむしろ逆効果になるのです。
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山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。