色の見え方について
2021.10.27 Posted by Design team
皆さんは「色の見え方」について考えたことはあるでしょうか?
色にはそれぞれに特徴があり、私たちの心理に大きな影響を与えています。当たり前ですが、色が変われば、物の印象は変わります。また、色によって人を癒したり、興奮させたりと、人の心をコントロールすることも可能です。
色の心理的効果は、デザインにおいても重要な要素だと言えます。どの色を使うのか、どの色を組み合わせるのかで、人の行動をコントロールできる可能性があるからです。
色の見え方を理解し、使いこなせるようになれば、目的に応じた説得力のあるデザイン制作が可能になるでしょう。
今回は、色の見え方について、初心者向けに分かりやすく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
色の三属性
まず、色の見え方を学ぶ上で基本となる「色の三属性」について解説します。
色の三属性とは、「色相」「明度」「彩度」で表される、色が持つ3つの性質のこと。
- 色相:色味の違い
- 明度:色の明るさの度合い
- 彩度:色の鮮やかさの度合い
デザインを行う際には、作りたいコンテンツに合わせて、この三属性をコントロールすることが重要です。
※色の三属性について詳しく知りたい方は、過去の記事をご覧ください。
色の三属性って何?
色の三属性をコントロールしていくと、軽い色や重い色、固い色や柔らかい色などを作れるようになります。
では、次の章からは、色の見え方として、以下の5つを紹介していきます。
- 軽い色と重い色
- 固い色と柔らかい色
- 興奮色と沈静色
- 進出色と後退色
- 膨張色と収縮色
軽い色と重い色
最初に、「軽い色と重い色」について解説します。
「軽い色」とは、明度が高く明るい色のことを指し、「重い色」は、明度が低く暗い色のことを指します。最も軽い色は白で、最も重い色は黒です。
目の前に同じサイズの「白い段ボール」と「黒い段ボール」が並んで置いてあると想像してください。どちらか1つを5階まで運んでくださいと言われたら、あなたはどちらを手にしますか?
大多数の人が白を選ぶのではないでしょうか。なぜならば、白のほうが「軽そう」に見えるからです。実際に白と黒では、黒のほうが心理的に1.5倍も重く感じられるという実験結果もあり、近年、宅配業者が白や薄茶色の段ボールを使用するようになったのもこの理論によるものなのです。
物理的な「重量」は同じであっても、心理的な「重量感」は異なってしまう。これが「軽い色と重い色」による効果です。
固い色と柔らかい色
続いて「固い色と柔らかい色」について解説していきます。
「固い色」は明度が低い色、「柔らかい色」は明度が高い色を指します。また、寒色系だとより固く感じられ、暖色系だと少し柔らかい印象になります。
ベビー用品にはパステルカラーのピンクやブルーがよく使用されています。どちらも軽くて柔らかい色なので、可愛らしい赤ちゃんを優しく包みこんでいるようなイメージになります。ピンクでも彩度が高くなるとビビットで主張の強いイメージになるので、明度と彩度のバランスを考えて選ぶことが重要だと言えるでしょう。
興奮色と沈静色
続いて、「興奮色と沈静色」について解説していきます。
「興奮色」は主に暖色系で彩度が高い色、「沈静色」は寒色系で彩度が低い色を指します。
興奮色の中でも特に赤は、心拍数を上げ気分を高揚させる色と言われています。闘牛士が赤い布を利用しているのも、牛と観客を興奮させるためだと言われています。また、「SALE」という文字に赤が使用されることが多いのも、ただ目立たせるためではなく、購買意欲を高めるためのカラーマーケティングの一種だと言えます。
逆に、青や緑などの沈静色は、心理状態を落ち着かせる効果があります。ホテルの寝室に青を基調としたデザインが多いのは、宿泊客に「このホテルにいると落ち着く」という体験を提供するためです。自然豊かな景色をみて心に平静が訪れるのも、緑がもつ色の効果によるものだと言えるでしょう。
進出色と後退色
続いて、「進出色と後退色」について解説していきます。
迫ってくるように見える色を「進出色」、遠くにあるように見える色を「後退色」と言います。進出色は暖色系・高明度・高彩度、後退色は寒色系・低明度・低彩度であり、真逆の性質だと言えます。
進出色と後退色の効果が分かりやすい例として、車の色について考えてみましょう。街中には様々な色の車が走行していますが、交通事故率の高い色は「青色」という統計があります。これは、後退色である青が、進出色に比べて遠くにいると感じてしまうからです。反対に、事故率が一番低い自動車は、進出色である「シルバー」だそうです。
また、メイクで頬の高い位置や鼻筋にハイライトをいれ、顎などにシェーディングを入れることがあります。これは顔に立体感をもたせるためであり、進出色と後退色の効果を活用したものです。
膨張色と収縮色
最後に、「膨張色と収縮色」について解説していきます。
大きく見える色を「膨張色」、小さく見える色を「収縮色」と言います。膨張色と収縮色は、先程の「進出色と後退色」とほぼ同じ理論です。つまり、膨張色は進出色、収縮色は後退色と同じ効果をもちます。
膨張色と収縮色の効果が分かりやすい例は、囲碁の碁石です。碁石は白石が直径21.9mm、黒石が22.2mmで作られています。これは膨張色である白色が、収縮色である黒色に比べて大きく見えてしまうからです。そこで、同じ大きさに見えるようにサイズが調整され、基盤上で平等性が保たれているのです。
また、収縮色は「着やせ」にも応用されており、同じ服でも黒色の場合と白色の場合では、黒色の服の方が細く見えると言われています。普段服を選ぶ際、細くすっきり見せたい場合は、何気なく収縮色を選んでいる人も多いのではないでしょうか。
そう考えると、皆さんも日常生活で知らず知らずのうちに、進出色と後退色、膨張色と収縮色等を活用していると言えるでしょう。
まとめ
色の見え方について、初心者向けに分かりやすく解説しました。具体的には、以下の5種類を紹介しました。
- 軽い色と重い色
- 固い色と柔らかい色
- 興奮色と沈静色
- 進出色と後退色
- 膨張色と収縮色
何を伝えたいのか、どう印象付けたいのかで、使うべき色は異なります。ぜひ当記事を参考にしながら、色の見え方について知識を深め、デザイン制作に役立ててください。
関連記事こちらの記事も合わせてどうぞ。