「デザイン思考」と「アート思考」
Webマーケティングやサイトに掲載するコンテンツについて考える際「デザイン思考」と「アート思考」を上手に使い分けると、アイデアを効果的に組み立てることができるかもしれません。しかしそもそも、デザインとアートの違いは何でしょうか?
端的にいえばデザインは課題解決であるのに対し、アートは自己表現であるといえます。例えば広告ポスターと絵画の違いを考えてみましょう。前者は商品・サービスをユーザーに認知させ購入などの行動を促す目的で制作されていますが、絵画はアーティスト自身の感情や思想などを表現するために制作されています。
つまり、広告ポスターは「商品をより多くの人に購入させる」という課題解決の手段として「ユーザーの購買意欲を掻き立てるビジュアル」や「ターゲットユーザーの目に留まりやすい場所への設置」というデザインを行なっています。
対して絵画は、いわゆる「ユーザー」や「目的」を限定せず、アーティスト自身が表現したいものを視覚化したものです。こうしてみると、同じビジュアル表現一つを例にとってもデザインとアートは対極的とも言えるほどの違いがあります。
今回は「デザイン思考」と「アート思考」とは、いったいどのようなものなのか、なぜ最近になってアート思考が求められているのかについてわかりやすく解説していきます。
「デザイン思考」とは
デザイン思考とは、顧客・ユーザーの課題を解決するための思考プロセスのことです。
言い換えると、ユーザーがどのような問題・欲求を抱えているかを知り、それに対してどのように応えるのかを考えることといえます。よってデザイン思考のゴールは自社の商品・サービスをより多くのユーザーに選んでもらうことです。
デザイン思考にはすでに確立された手順があり、そのメソッドに沿って思考と試作を繰り返すことによって着実に課題解決へと導くことができると考えられています。
具体的には、下記のステップで行われます。
・ステップ1:ユーザーの行動を観察することで、理解し共感する
・ステップ2:ユーザーの悩みや課題を言語化し、問題提起していく
・ステップ3:問題や課題に対して、アイデアを出していく
・ステップ4:アイデアを形にしてみる
・ステップ5:形にしたものをテストしてみる
こうして見ると、デザイン思考においては何よりもユーザーが起点となって課題の発見やロジックの組み立てを行っていることが分かります。
「デザイン思考」のメリット・デメリット
デザイン思考によるメリットとデメリットをご説明します。
メリット
デザイン思考では、下記のメリットがあります。
・ユーザーに寄り添った(自分よがりでない)商品・サービスができる=ビジネスとして成功しやすい
・メソッドが確立されていて取り入れやすい
・既存サービスや商品の改善に効果的
このように、ユーザー視点で考えられることがデザイン思考の大きな特徴です。
デメリット
一方で、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
・0から1への発想には不向き
・既存のビジネスモデルから逸脱することが難しい
ユーザー視点で考えるため、どうしても従来の考え方の枠組みのなかで発送しがちになってしまいます。もちろん競合他社も同じユーザーを思考の起点としているため、他社と差別化するためのユニークなアイデアが出づらいといえます。
「アート思考」とは
アート思考とは、既成概念にとらわれず「自分」を起点として創造的なアイデアを生み出す思考プロセスのことです。デザイン思考が「顧客・ユーザー」を起点としているのに対し、アート思考では「自分」を起点とする点が大きな違いです。
アーティストが自身の感情や思想などをベースに作品を生み出すように、顧客やユーザーを一旦思考の外に置いて「自分目線」で物事を考え・感じることによって、ビジネスの常識にとらわれないイノベーションを生み出すことが期待できます。
なぜ今「アート思考」なのか
アート思考はAIをはじめとする技術発展が目覚ましい現代において、とくに注目を集めています。
従来のロジックではオリジナリティのある商品・サービスを創出することは困難になりつつあるため、「自分」という唯一無二の軸から発想を得ることによって、個性や熱量を持った新しい商品・サービスを生み出し、顧客の心を動かすことができると期待されているのです。
まとめ
とはいえ、今日からすぐにアート思考を始めよう!というのは多くの方にとって難しいことでしょう。
ワークショップや書籍などで具体的な手法を学ぶこともできますが、まずは第一歩として「自分が今どのような感情・興味・思想を持っているのか」をじっくりと見つめ直してみると、思いがけず新しいアイデアが浮かび上がるかもしれません。
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