Flashの終わりは近い?ChromeがFlash広告の自動再生を止める
2015.09.14 Posted by anzai
Google社がリリースしているWebブラウザ「Chrome」の勢いが止まりません。
2015年7月時点のシェアを見ると、日本国内ではInternet Explorerに次いで2位、世界を見ればダントツの1位を誇っています。
(参照元:webrage 2015年9月8日閲覧
https://webrage.jp/mobile/data/pc_browser_share.html )
そんなChromeですが、先日、広告として表示されるFlashについて、9月1日よりデフォルトで自動再生させないようにすると発表しました。これまでFlashを自動再生させることにより、大きな電力消費が行われ、読み込み速度にも悪影響を及ぼしていたためです。
またFlashにはセキュリティ上の脆弱性が報告されているため、そういったリスクを回避する意味合いがあるのかも知れません。
Flash広告が自動再生されなくなってしまったことは、Google AdWordsからFlash広告を出稿していた広告主にとってはバッドニュースかも知れません。しかしGoogleはそんな広告主に救いの手を差し伸べています。
まず、多くのFlash広告はGoogleによって自動変換されます。そして自動変換されないものについては、Googleから.swfファイル(Flashファイル)の変換サービスが提供されています。
なぜFlashは廃れていくのか
ChromeによるFlash広告の自動再生停止措置は、決して意外なものではありません。
大手SNSのFacebookは、Flashの脆弱性を理由として今後のサポートを打ち切ることを発表していますし、YouTubeもプレイヤープログラムをHTML5へと切り替えています。2015年現在、Flashの地位はその程度のものになってしまっているのです。
FlashはかつてWeb業界のスーパーヒーローでした。動画ファイル(MPEG)よりも軽く、かつ簡単にダイナミックな動きを演出できるFlashは、1990年台後半から徐々に躍進を遂げていきました。
もちろん、Webサイトにも積極的に取り入れられ、なかには「フルフラッシュ」と呼ばれる、すべての要素がFlashで構成されたWebサイトも登場するほどでした。また日本では、MAD文化の先駆けとなる「面白Flash動画」が流行したことも、Flash普及の要因の一つでしょう。
FlashはMacromedia社(現Adobe社)のテクノロジーです。あくまで一企業が展開している事業に過ぎません。とはいえ、Flashを表示する「Flash Player」はユーザーに無料で配布されたため、私達はMacromedia社に直接お金を払うことなくFlashコンテンツを閲覧することができました。
しかし、それはPCに限った話でした。Macromedia社はFlash事業の収益化のため、モバイル分野においてのみ有償化する方針に舵を取りました。しかし「フリー」と「オープン」を重んじるWeb業界において、その目論見はうまくいかず、かえってモバイル分野でのFlashの地位はどんどん低下していきました。
そして2007年、Apple社のスティーブ・ジョブスは、「iPhone」においてFlashを完全に見捨てることを発表しました。これはJavascriptやHTML5を筆頭としたオープンなWebテクノロジーで十分に代替可能と判断したためです。この発表は、Flashの息の根を止めるには十分過ぎるほど強力なものでした。
それからは多くの方がご存知の通り、iPhoneがモバイル市場を席巻しました。Flashの強みだったゲーム分野においても、Appleは独自の「Apple Store」を発展させることで、いとも簡単に自らが掲げたFlash不要論を証明してしまいました。
それから時は流れ、いまに至ります。Flashが2015年現在、どのような扱いを受けているかは、この文章の初めに確認した通りです。
WebサイトへのFlash導入はNG
これからWebサイトを作成するならば、Flashを使おうとは思わないほうが無難です。日本はスマートフォン黄金期を迎えており、わざわざ無理をしてモバイル対応に難がある技術を使う必要はありません。
かつてFlashが担っていたWebサイト上のダイナミックな動きも、他の代替的な手法で実現可能です。Webサイトでよく見られるスライドショーはJavascript、ボタンや文字の細かい装飾・動きはCSS3で実装する、といったように。
今後もFlashに対するサポートの打ち切りなどは続くことでしょう。WebサイトでFlashを使っている方は、これをきっかけに整理してみると良いかもしれませんね。
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