iOS9のコンテンツブロック(広告ブロック)、Web担当者が知るべき現状と対策
2015.11.17 Posted by anzai
今秋、iOSの最新バージョン「iOS9」が公開されました。そこに搭載された新機能である「コンテンツブロック(広告ブロック)」が、現在大きな話題になっています。
コンテンツブロックとは、iOSの規定ブラウザ「Safari」でWebサイトを閲覧するとき、Webサイト上の広告を非表示にできる機能です。この設定をオンにしていると、Google AdSenseなどの広告がブラウザ上に一切表示されなくなります。
これは広告を出稿するWeb担当者はもちろん、多くの関係者に衝撃的なニュースです。今回はその現状と対策について、詳しく見ていくことにしましょう。
一体何が起こったのか
今回のアップデートにより、何が起こったのかについて、要点をまとめましょう。
ユーザーは、AppStore上で「Crystal」などの有料アプリをインストールすることにより、Safari上でコンテンツブロック(広告ブロック)を設定できるようになります。これにより、ページ内のGoogle AdSense広告などを非表示にすることができます。
ただ、この機能はデフォルトではオフになっていますし、そもそもコンテンツブロックアプリを購入しなければ設定できません。そのため、未設定の状態では、iPhoneからのアクセスでも広告が表示されるようになっています。あくまでも、有料の追加機能だということです。
しかし、一部アプリでは広告だけでなく、Google Analyticsによるトラッキングも無効化されることが報告されています。つまり、コンテンツブロックをオンにすることで、ユーザーがどこから来たのかなどのデータが取得できなくなる恐れがあります。これは広告を出稿していないWeb担当者にとっても大きなダメージといえます。
ユーザーが得るメリット
では一体、なぜこのような機能が追加されたのでしょうか。
答えはシンプルです。ユーザーは広告を非表示にすることで通信量、読み込み速度ともに大幅な短縮でき、それによりスムーズなブラウジングを楽しむことができるようになるからです。
そして何より、ページに関係のない広告が表示されるストレスを解消ができるようになります。これはユーザーからすれば大きな改善です。
今回話題になっているモバイルではなく、PCを通したブラウジングでは、コンテンツブロックは古くから使われてきた機能でした。それがついにモバイルに、しかもAppleの公式で実装されたことが今回のニュースの肝なのです。
Web担当者が取るべき対策
コンテンツブロックに対して、現状これといった解決方法はありません。
特に広告出稿者という視点から考えると、対策は各ページの制作者に委ねられるため、出稿者側からはどうすることもできません。広告によってユーザーへアプローチするという戦略そのものを見直すほかありません。
Webサイトの管理者としても、手立ては少ないのが実際ですが、以下については把握しておくべきでしょう。
- ネイティブアプリへの誘導
もしもモバイルでのトラフィックが多く、かつ広告を必ず表示させることが至上命題であるのなら、AppStoreからネイティブアプリを配布しその中で閲覧してもらうよう誘導する手があります。これは広告表示のメリットとネイティブアプリ開発のコストを天秤にかけ、慎重に判断する必要があります。 - アンチコンテンツブロックソフトの導入
「Anti Adblock Script」など、コンテンツブロック機能を無効化する手段もあります。これによりコンテンツブロック機能をONにしているユーザーに対し、警告と共にページそのものを表示させないようにすることができます。
しかしこの対策は、ユーザーが能動的に広告をブロックしようとしているのに対し、反撃として一切ページを見られないようにするという行為であるため、UX(ユーザーエクスペリエンス)を考える上では相当リスキーな行為だと自覚する必要があるでしょう。 - 様子を見る
現状、iOSのSafariでしか使えない機能であり、デフォルトでは無効になっています。数値上で大きな変化が現れないかぎりは、様子を見るのも一つの手段です。
先日、Yahoo!ニュースが一切のPR記事(記事広告)を排除したこともまた、大きなニュースになりました。インターネット上で大きなインフラを持っているAppleやYahoo!のような企業は、ユーザー主義という大義名分のもと、今後様々な変化をもたらすことでしょう。
常にアンテナを張りめぐらせ、情報をキャッチしながら、ビジネスモデルそのものを含めた戦略の見直しが求められています。
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