プロジェクトの要件に優先順位をつけるMosCoW分析
Web制作会社とのコミュニケーションやプロジェクトの進行において、話にすれ違いが生じたりスケジュールが思うように進まないといった経験はありませんか?プロジェクトにおいて優先順位が決まらないという問題を抱えているのなら、MosCoW分析の仕方を知ることで問題を解決できる可能性が高いです。 今回は、MosCoW分析とはいったいどのような方法なのか、具体的な使い方や注意点についてわかりやすく解説していきます。
目次
要求と要件の違い
要求と要件は、よく同じものであると思われがちです。一見すると非常に似ている言葉ですが、要求と要件には日本語の意味に違いがあります。 要求が「実現したいこと・必要とすること」という意味であるのに対し、要件は「大切な用事・必要な条件」という意味があります。つまり、要件とは、要求を満たすために欠かせない重要な条件であるといえます。
例えばWeb制作の場において、「Webサイトのアクセス数向上」は要求(実現したいこと)、それに対し「内部リンクの最適化」「レスポンシブデザインにする」は要件(実現に必要なこと)です。このように「要求」と「要件」には違いがあります。 混乱・認識のすれ違いを避け、プロジェクトの進行をスムーズにするためにも分けて考える必要があります。
MosCoW分析とは
MosCoW分析とは、ビジネス分析、プロジェクト管理、およびソフトウェア開発で使用される優先順位付け手法のことです。要件の優先度を「Must」,「Should」,「Could」,「Won’t」の4に段階に分類する手法で、それらの頭文字を取り、発音のためにoを加え、「MoSCoW分析」(モスクォウ、モスクワ)と呼称されています。MoSCoWの4つの分類は、次のとおりです。
M : Must (必須な要件)
Mustは、最優先事項です。この要件が実現されなければ、システムやサービスの導入目的(要求)が果たせない実用最小限のもの。プロジェクトの根幹を担う要件で、その実現は最優先となります。
S : Should (対応すべき要件)
Shouldは、Mustよりも優先度は下がります。この要件が実現されなくても目的(要求)を果たせますが、メリットが大きく損なわれるもの。
C : Could (できれば対応する要件)
Couldは、その要件が実現されなくても目的(要求)を果たせますが、メリットもあるが、実現すれば更に大きなメリットがあるもの。
W : Won’t =Will not (今回は見送る要件)
Won’tは、現時点では議論する必要がない、または将来的に持ちたいもの、実現の要否判断をしたところで導入目的(要求)やメリットに寄与しないもの。
MosCoW分析の使い方
Web制作におけるMoSCoW分析の使用例をご紹介します。
プロジェクトの目的(実現したい要求)を「SEO対策」「デザインの刷新」「現状のCVRは良好だが向上」「雑多なブログやコンテンツの整理」「デザイン性よりも見やすさ」と仮定します。 要求を満たすために必要なこと(要件)をリストアップし、それぞれ「M」,「S」,「C」,「W」の優先順位をつけていきます。今回の場合、要件の優先度の分類を次のように分類します。
Must:SEO Should:レイアウトの改善 Could:ニーズに適したコンテンツの充実・整理 Won’t:エフェクト、モーション
このように優先度をつけ、やることとやらないことを明確にすることで、このプロジェクトで何をするのかが明確になりプロジェクトメンバーとのトラブルを減らすことができます。 また、一日のタスク整理においてはToDoをリストアップし、優先順位をつけることで混乱を減らし生産性を向上させることができます。
MosCoW分析を使用する際の注意点
MosCoW分析では、同じ優先度の要件しかない場合は、優先度をつけられず、あまり効果があげられません。今ひとつ効果を実感できない場合は、本当にその優先度でいいのか、必須であるものは何かを再度確認する必要があります。 あくまでMosCoW分析は整理術であるため、MosCoW分析を使用する場合は、論理的根拠を基に優先順位付けすることに注意が必要です。 Webサイトのレイアウトに関して何を目立たせたいか、どういったメッセージ性をもたせるべきかなど、要件をより細かく設定することで関係者との共通認識を強められるため、気づいたら時間だけが過ぎていたり、本当に実現しなければいけなかったことができていなかったりといった事態を防ぐことができます。
まとめ
MosCoW分析はプロジェクト管理だけでなく、日々の業務、ひいては日常生活においても応用可能な要件整理術です。欲しいものの整理や、物件探しの際の条件整理にも役立ちます。特に、やるべきことや条件が多くあるような状況では、非常に役立ちます。 また、物事の優先順位をつけやすくなるため、無駄を減らすことができます。ぜひ、業務や日常生活に応用してみてはいかがでしょうか。
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