ウェブアクセシビリティ試験の実施に必要な方針について②
2020.03.18 Posted by watanabe.k
前回に引き続き、ウェブアクセシビリティ試験の実施に必要な方針についてご紹介します。今回は、「対応度」「方針を公開するかどうか」 についてです。
目次
なにを決めればよいのか?
対応度を決める
対応度とは、『JIS X 8341-3』に「準拠」しているか、「一部準拠」しているか、「配慮」しているか、といった3つの度合いを指します。
JIS X 8341-3:2016 に「準拠」
「準拠」は、ウェブコンテンツを『JIS X 8341-3:2016』の要件に従って制作・開発し、『附属書JB(参考) 試験方法』に示されている手順などを参考に試験を実施したうえで、目標とした適合レベルに該当する達成基準を全て満たしていることを示すために使用することができる。
引用元:ウェブアクセシビリティ基盤委員会 ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン
達成基準を「全て満たしている」ことがポイントです。
PDFや動画など、ファイルの作成時期が異なるコンテンツを試験の対象範囲から除外することもできますが、対象範囲に含めているコンテンツは達成基準を全て満たす必要があります。
JIS X 8341-3:2016 に「一部準拠」
目標とした適合レベルに該当する達成基準を全て満たしていない場合、今後の対応方針を示すことで「JIS X 8341-3:2016に一部準拠」と表記することができる。また、『JIS X 8341-3:2016』の「5.3 部分適合に関する記述-第三者によるコンテンツ」及び「5.4 部分適合に関する記述-言語」で定められた部分適合を適用するページが存在する場合についても、部分適合に関する記述を行った上で「一部準拠」と表記するものとする。
引用元:ウェブアクセシビリティ基盤委員会 ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン
満たしていない達成基準があった場合は一部準拠になります。
注意すべき点として、準拠や一部準拠は、「コンテンツの全部か一部か」を示しているのではなく、「試験の対象範囲に含めたコンテンツが基準を全て満たしているか、一部を満たしているか」を意味しています。
そのため、「部分適合」としたコンテンツは試験の対象範囲に含まれており、一部準拠になります。
※部分適合は、ブログなど第三者によって制作・更新されるコンテンツの実装に伴って設定されます。
JIS X 8341-3:2016 に「配慮」
「JIS X 8341-3:2016に配慮」は、ウェブコンテンツが『JIS X 8341-3:2016』を使用して制作されたことを示すために用いることができる。試験の実施の有無、結果は問わない。目標とした適合レベル又は参照した達成基準の一覧を表示するものとする。
引用元:ウェブアクセシビリティ基盤委員会 ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン
「JIS X 8341-3:2016を参考にしながら、ウェブアクセシビリティに気を付けてホームページを作成した」ことを示す対応度です。試験の必要が無く、満たしていない達成基準があっても構いません。
準拠と一部準拠は試験の実施が必須であり、 ホームページ上で対応度を公開する場合は、試験結果まで記載する必要があります。
方針を公開するかどうかを決める
公共系のホームページは、総務省の「みんなの公共サイト運用モデルガイドライン」によって、ウェブアクセシビリティ方針の公開が求められています。
民間系のホームページは公開は任意ですが、取り組みを社内外にアピールするため、自主的に方針を公開することがあります。
まとめ
「対応度」は、設定によってはホームページ上で結果の公開が求められるため、必ず事前に決めておきましょう。
また、こういった方針を決めておくことで、プロジェクト内で混乱が起きることを防ぐことができます。 しっかりと方針を決めておきましょう。
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