落として、上げて心を掴む!ゲインロス効果とは
寡黙だと思っていた人がたくさん話す姿を見て、「思っていた印象と全く違った!」、「こんなに雄弁な人だとは、驚いた!」という感情を抱いたことはないでしょうか。このような心理効果のことをゲインロス効果といいます。
最初に抱いたイメージよりも、後からついてくる印象との落差が大きければ大きいほど、その心理効果は大きくなります。今回は、ゲロインロス効果とはどういったものなのか、その心理効果をWebサイトやWebマーケティングで有効利用するにはどうすれば良いのか、広告事例を含めてわかりやすく解説していきます。
目次
ゲインロス効果とは
ゲインロス効果とは、最初にマイナスのイメージを与えた後、プラスのイメージを与えることでプラスの情報の印象が強くなる心理効果のことです。第一印象では、非常に厳しく見える人と思って会話をしてみたら、笑顔が絶えない素晴らしい人だとわかって、人間として魅力的に見えてしまうという現象です。
いわゆる「ギャップ萌え」もゲインロス効果の代表例といえます。ここで、ゲインロス効果のゲインとロスという言葉の意味について、解説していきます。
ゲイン効果
ゲイン効果とは、評価をする人から最初からプラスの評価を受けるよりも、最初はマイナスの評価を受けて、後からプラスの評価を受けた場合、評価される人は人間として魅力的にみえるという効果です。
ロス効果
ロス効果は、ゲイン効果の逆の効果です。評価される人が最初にプラスの評価を受けて、そのあとマイナスの評価を受けると、評価する人の印象が悪くなりやすいという効果です。
Webサイトにゲインロス効果を有効利用するには?
Webサイト上でゲインロス効果を最大限有効に利用するには、次のポイントをしっかりとおさえる必要があります。
同じカテゴリの情報で印象を上下させる
ゲインロス効果は、同じカテゴリの情報で印象を上下させた方が、その効果が大きくなります。たとえば、仕事の仕方がいい加減だと思われていたが、「道具を丁寧に扱う」「だれに対しても丁寧なコミュニケーションを行う」といった姿を見せることで、印象が大きく変わってきます。
これは、仕事への姿勢というカテゴリ内で変化を与えたために、その効果を発揮することができています。これが、ピアノが上手にひけるではカテゴリが異なるため、その効果を発揮することができません。
緩やかに変化を与える
ゲインロス効果は、その変化が緩やかである必要があります。たとえば、何かの行動によって印象は大きく変わってしまった場合、評価者の思考に混乱を与えてしまいます。そのため、評価者の思考レベルに応じた変化を与えることがポイントとなってきます。
最初のマイナス印象を強くしすぎない
ゲインロス効果を使って、プラスの強い印象を持たれたければ、最初にマイナスな情報を与える必要があります。しかし、あまりに強いマイナスの印象を与えすぎるとマイナスイメージが強調されすぎて、嫌悪感から逃れられなくなってしまいます。
この効果を初頭効果といいます。初頭効果とは、第一印象が後の評価に大きく影響を与えるという効果です。つまり、最初に強いマイナスな印象を持たれてしまうと、後日どれだけ努力したとしても、プラスの印象を与えることができないということです。そのため、最初のマイナスな印象を強くしすぎないことがポイントです。
ゲインロス効果を活かした広告事例
ゲインロス効果は、デザインの領域でも利用できます。例えば広告賞を受賞した近畿大学の2023年の新聞広告は、ゲインロス効果を巧に活用した事例といえます。
「上品な大学、ランク外」というマイナスイメージのキャッチコピーを最初に見せておいて、実は「エネルギッシュである」1位、「チャレンジ精神がある」1位、「コミュニケーション能力が高い」1位という、就活において企業が求める人材像にマッチしている、というプラスのイメージを挙げています。
つまり、イメージを少し下げて上げるという絶妙なバランスで近畿大学がどういった大学なのかをトップのコピーで表現しています。これによって、「近代に行くことで、社会に求められる人間になれる」というメッセージを強くアピールすることにつながっています。
ちなみに、近畿大学の広告は、AIの画像生成技術が使われて作成されているとのことです。下記の画像の学生はAIで生成されたもので、実在はしないとのことです。
出典:近畿大学広告アーカイブ(https://www.kindai.ac.jp/archives/2022.html)
これらの情報から社会的な話題性につなげており、ゲインロス効果の使い方としては非常に面白いものとなっています。
まとめ
相手に対して少しマイナスな印象を与えることで強いプラスな印象を残しやすくするゲインロス効果ですが、Webサイト上で売上を最大化したい商品やサービスがある場合、使い方を間違えなければ大きな効果を期待できます。
しかし、ゲインロス効果は使いすぎると、計算されつくした演出というイメージを与えてしまうため、やり方を間違えると逆効果に働いてしまいます。そのため、その他の心理効果も有効に利用しながら演出だと思われないようにバランス良く利用していきましょう。
関連記事こちらの記事も合わせてどうぞ。