あなたのECサイトは大丈夫?「二重価格表示」のルール
「当店通常価格2,000円のところを50%OFFで1,000円に!」といった、一つの商品に対して価格が2つついている広告やバナーをよく目にしますよね。ディスカウントストアやネットショップでよくありがちな価格表示ですが、こうした表示を二重価格表示と呼びます。
ユーザーにお得感を与えるために、割引前価格と割引後の価格を併記することを指すのですが、実は厳密なルールがあるんです。もしこのルールに違反した場合、処罰命令が消費者庁からくる恐れがあるのです。こわ。
個人のショップならまだしも、名のある企業のECサイトならどこでもやっているのに?
最近怒られていた例
楽天の野球チームが、田中マー君がいたころに優勝しましたよね。
それで親会社の楽天がセールを行ったの、覚えてますでしょうか。当時の監督の背番号にあやかって、77%オフとかやっていた、アレです。あれも、本当に77%オフしていれば問題無かったわけなんですが…。楽天はあくまでハコであって、楽天株式会社が商品の価格を管理しているわけではありませんからね。
77%オフにのっかる企業や個人もいればそうでないのもいる。そりゃ1000円で売ってたものをいきなり230円で売れというのは無理あるでしょうよ。楽天優勝なんてしらんし、と思うお店も多いでしょう。でも楽天としては77%オフやりたい。でも、足並みはそろわない。
で、どうしたかというと楽天の社員がいくつかの事業者に対してこう提案したそうな。元の価格を上げてちょうど77%オフになるようにすればいいじゃん!やろうよやろうよ!みんなで盛り上げようよ!って。で、それがバレた。「社員18人がインターネット通販「楽天市場」の出店者である28事業者に通常価格を引き上げ、割り引きしているような不当な価格表示を提案していた」(日本経済新聞平成26年4月26日(土)朝刊)
消費者庁からも怒られる
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/140430premiums_1.pdf
「貴社が実施することとした再発防止策である営業倫理委員会の新設及び監査体制の強化を着実に実施するとともに、貴社の役員及び従業員に対し、今般の調査結果について万全の周知徹底を図り、併せて景品表示法についての理解の深化及び遵守の徹底を図ること等により、不当な二重価格表示が行われないようにするなど、景品表示法違反とならないための必要な措置を講じることとされたい。」今回はイエローカードだけど、目を付けたからな!次はレッドカードだぞ!といわれていますね。こわ。
二重価格表示について
二重価格表示はやらないようにしたいですが、実はなかなかややこしいもの。消費者庁は次のような場合は二重価格表示に該当するおそれがあると説いています。
- 同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
→たまねぎとじゃがいもとすいかを一緒に売って、元値から5割引き今がチャンス!ってするようなもの。
- 比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合
→「架空のメーカー希望小売価格」「根拠のない市価」などが該当します。
割引前価格の表記にご注意を
というわけで、割引前価格の表記はルールにのっとって行いましょう。モラルがあれば守れるんです。
- 過去8週間のうち、4週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができる。
⇒4週間以上1,000円で売っていたものの、売れ残ったため、5割引で販売しようってなったときに、下記は○
「当店通常価格1,000円のところを50%OFFで500円に!」 - 販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができる。
⇒販売開始4週間売ってた商品がある。15日間1,000円で販売していたが売れ残ったため、500円引きで販売する。下記は○
「当店通常価格1,000円のところを50%OFFで500円に!」 - 上記①や②を満たす場合であっても、実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の販売価格として表示することは、原則としてできない。
⇒14日前に1,000円で販売して以降、50%引き500円と表記して売り続けていた場合、この表記は今日まで。明日からは500円の商品として販売する。
- ④販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは、原則としてできない。
⇒1,000円で販売を始めた商品がなかなか売れないので、販売から1週間たってから200円割り引いて売りたい。その際価格表示は20%オフの800円にしたい。
→×できない
まとめ
通常価格として販売実績が一切ない商品をいきなり「○○円で50%OFFで○○円!」と表記することは明らかに不当表示なので、既に知られているかもしれません。しかし、通常価格としての販売実績がある場合も、その期間などに細かな制約がかけられていることはあまり知られていないものかと思います。
悪意がなかったとしても、景品表示法として法律で定められていることですので、不当表示とされてしまわないよう、再度自社のセール内容を確認してみるとよいかもしれません。
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